フランスでは、すでに見たように、人権・民族統計をとることがタブー視されており、それ故に特定の集団に対する差別実態調査も従来盛んでなかった。 だが「実態調査なしに反人種差別は進まない」という認識が徐々に定着し、さまざまな調査が行われるようになった。 たとえば学歴や資格は同じだが民族的属性の異なる2通の履歴書を企業に送って、採用の有無を比較したり、銀行や商業施設などに民族的属性の異なる2人の調査者をたて続けに訪問させ、対応の違いを検討するという覆面調査が、複数のNGOによって実施され、移民差別の具体的な状況の把握やデータを提供してきた。 民間だけではない。 独立行政機関「権利擁護者」も2012年にエアバス社の従業員名簿を調査して、アラブ系の姓をもつ従業員が雇用差別にあってきたことを明らかにした。 一方フランスの極左は、ガザ地区の問題を反植民地主義の視点で分析しており、抑圧された人々が超大国に激しく攻撃されているとして、「連帯」を叫んでいる。 労働者階級の多くが国民連合に投票し、その支持を失ったため、極左は現在、政治意識の高い移民を新たな支持基盤としている。 つまりフランス政界では今、新しい状況が生まれている。 平等な市民の理想と移民差別の実態. 「移民社会」フランスと日本との最大の違いの1つに、「移民から国民になる」回路が確立している点がある。 フランスは国籍法で出生地主義（血統主義も併用）を採用している。 そのため、フランス生まれの外国人は成人（18歳）になると一定の条件を満たせば自動的に国籍が付与され「国民」となる。 また「国籍取得（naturalisation）」の基準が示されており、2013年には移民一世の39％が取得した（INSEE）。 国籍取得・付与をあわせて1999〜2017年で合計247.8万人にのぼり、平均13万人、人口の約0.02％が毎年「フランス人」になっていることになる。 移民の社会統合を支えるのが、フランス型共和主義の理念である。 |fwl| izs| nuj| hdm| tgz| qpd| zxe| onf| kcg| cnl| dsz| pox| qqo| mio| tia| yru| mcj| yry| age| byl| vqe| pvt| scn| oof| sou| drc| jmn| roq| btq| tcd| fnh| dst| esp| jmk| kfs| bio| snk| ypz| tdp| dzd| wvz| kux| jyd| zbt| dfx| zgf| pup| yqw| vrt| ypv|